Fate/staynight




 Fate/Unlimited Create Works




 〜Intrude〜


 騒動は去った。
 キャスターは撤退し、衛宮士郎は奪還された。

「くっ―――。何だ今のは……」

 アサシンは目の前で起こった事がまだ信じられない様子で言った。
 それはそうだろう。放った矢は彼の最も得意とする宝具であり、絶対に外れるなど思ってもいなかった。
 しかし、それ以前にアサシンの得意分野が弓というのは分不相応である。弓はアーチャーの領分だ。だが、彼は闇夜にまぎれるはずも無い赤い外 套を着、双剣を持ち、弓を宝具として使った。明らかにアサシンとしては落第である。
 アサシンらしからぬアサシン。

「魔術……?一挙動でカラドボルグを相殺するとは、元は名の売れた魔術師か」

 カラドボルグ―――アルスター神話においてクー・フーリンのライバルとして挙げられる人物、ファーガス・マクロイが持つ剣である。
 アルスター神話においてこの二人が活躍するのは「クーリーの牛争い」という叙事詩である。
 中身を言ってしまえば、アルスターのクー・フーリンと、コノートのファーガスが“牛”ごときの優劣のために振り回されるという居た堪れない 話である。
 話を剣に戻そう。カラドボルグをファーガスが如何様にして手に入れたかは不明だが、興味深いのはこのカラドボルグという名前である。
 アイルランド語で「硬い稲妻」という意味なのだが、ウェールズ読みすると「カラドヴルフ」となるのだがこのカラドヴルフ、「エクスカリ バー」のウェールズ読みと同意となるのである。……無論、“あの”と付く。
 ファーガス・マクロイなる人物がアーサー王であったはずもなし、アーサー王自身、生まれた瞬間から魔術師マーリンに預けられてコノートやア ルスターとは関わりは無い。
 しかし、光輝くと言う特徴と、破壊力を表に出さない“存在”としての武装の点から見るともしやと思われる部分が多々あるのは確かである。
 アサシンがそれを知っているかは定かでは無いがその接点を利用するならば、単なる宝具ではありえない。
 剣を矢として使う。使いやすいように改良さえ加えて。
 狙撃手と言うなら判らないでもないが、それはあまりに強引な考えだ。

 それにアーチャーもそうだ。
 アーチャーは矢を放った瞬間に振り返り一挙動の魔術を行使した。槍だか矢だかを射出するという、アーチャーなのかキャスターなのか判らない 魔術で。
 それに飛び出して来た時に持っていたのは日本刀。だが宝具ではなかったようだ。カラドボルグごときに易々砕かれていたのでは、宝具とはいえ ない。それとも、攻撃力よりも“存在”や限定的なことに対して絶対的な“魔術礼装”なのか。
 そして、アサシンを吹っ飛ばした技。アーチャーが魔術を絡めた格闘技?
 どちらかというと魔術に長けているようにも思われた。
 アーチャーらしくないアーチャー。
 与えられたクラスに準じない所は、似ているといわれれば似ている。

「……キャスターめ、令呪を奪うどころかアーチャーにしてやられるとはな」

 はき捨てる。彼はあの女が嫌いだった。何故も何も無い。流儀がどうこう、やり方がどうこうというわけではない。
 呼び出された瞬間から、この魔術師は“聖杯戦争”には勝利できぬという確信があったからだ。
 それが何故かは彼しか判らないのだが。

「……全く、無駄な力を使った。さて……」

 そうして、視線を上げた先、そこには、

「よう。お前がアサシンか?」

 蒼の槍兵が立っていた。

「やれやれ、今夜は千客万来か」
「なんでぇ、せっかく訪ねて来てやったのにやる気の欠片もねぇって口だな?」
「さっきから、覗いていたのは貴様か。ランサー」
「あぁ、いい見世物だったぜ?」

 ニヤニヤと槍兵が笑みを浮かべる。

「で、何用だ?よもや戦いに来たわけではあるまい」
「もちろんそのつもりさ。最もアンタがやる気があればの話だがな」

 ランサーの手に槍が握られる。
 だが、アサシンはあろう事か山門の脇へ避けた。

「通れ。気が乗らん」
「な、なんだと!?正気か貴様……!」
「何を持って正気というか知らんが、言っただろう。気が乗らん」

 背中を山門に預け、腕を組む。全くの無防備だ。

「ほお、そりゃそのまま殺して良いってことか?」
「槍を放つのは勝手だが、……できるのか?それが」
「――――!」

 槍を放てば終わる。だというのに、ランサーはいつまでたっても動かない。

「チ、お前、気付いてやがったのか」
「戦う気なら、先ほど隠れていた場所から槍を放てばいいだけの話。それでアーチャーなり私なりの命は持っていけたはずだ。
 それをしなかったという事は、なんらかの令呪を受けているのだろう?
 恐らく、一戦目は必ず引き分けろ、と言った辺りの」
「……………………」
「……図星か」

 アサシンはもう話すのも億劫だと目を閉じた。

「通れ。キャスターの様子でも拝みに来たのだろうが、無駄だぞ。さっきアーチャーに痛い目を見せられた。
 帰る時は2戦目となるのだろうが、手傷を負った戦士相手に戦意が沸くお前でもあるまい」
「―――初見で言うのもアレだがよ」
「何だ?」
「テメェは好きになれそうもねぇな」
「……同感だ」

 それっきり、二人の会話は切れた。ランサーは無言で柳洞寺に飛び込み、アサシンは黙ってそれを見過ごす。
 門番にあるまじき事だろう。侵入者をみすみす中へ入れるとは。
 しかし、彼にとっては無関係な話だった。山門の警備を命じられたが、令呪を使われたわけではない。むしろランサーがキャスターに止めを刺す なら歓迎すべきだとも思っている。
 大した忠誠と笑う無かれ。彼は聖杯戦争に勝つためにいる。“勝利”すればいいのだ。サーヴァントが減ってくれるならなんでもいい。たとえ、 ソレがマスターがだろうと知ったことではない。その後の身の振りようは当てがある。
 受け入れられるかは偏に難しいのであるが。

 が、彼のそんな淡い期待は完璧に裏切られる。

 …………境内で異常な戦闘音が聞こえてきたのだ。


 〜Intrude Out〜




 9:2月6日・朝〜

 side アーチャー


 朝のすったもんだはさて置こう。
 変わった事と言えば、朝食がこれからご飯からパンになったようである。
 私が目を覚ましたのは朝の8時ごろ。朝食は事前に用意され、誰もいない居間でひとりさびしくパンをかじった。
 
 ――で

 昨日の事を思い出す。柳洞寺、あの時魔術の至近距離での爆発を食らって私の意識は飛んだ。
 ……そこから先の記憶は全く無い。だというのに、キャスターと勝負をつけたという記録と、私で無い誰かの戦闘の記録が私の中に残されてい る。
 気味が悪い。だってそうだろう。何時、誰と戦ったかの記憶が無いのに戦闘の記録は為され、それを元にシュミレーションを繰り返す自分がいる など。
 記録だけをみれば、

 キャスターは撤退、追跡不能、今後の動向に注意。さらに、アサシンと遭遇、戦略的撤退、対象の武装は剣及び弓と思われる。

 今記録において使用した武装
 カード「サムライソード」2枚消費、当該武装の評価はE。
 風の斬撃1:評価A。サムライソードとの併用は避けよ。現時点発動可能はD−。
 風の矢1:評価B+。ただし、現時点発動可能はD+。
 砲閃華:評価B。現時点発動可能はC+。
 
 以上だ。

 誰かが戦って、誰かが書いて、誰かが持ってきた報告書を机に座って読まされているかのような現状。それに、私は我慢ならない。 
 勝手に人の体に乗り移って、勝手に戦って勝ち残り詳細な情報を残して消える。
 再現しろというなら、風の斬撃も、風の矢も今ここでやって見せよう。だが、それは私が思い出した物の中に存在していなかった。いわゆる、ブ ラックボックスの中身だ。それを当然のように持ち出してくる“奴”は一体誰だ?

 ……私の中に、何かがいるのか??

 だが、その先に手が伸びない。扉、鍵、檻……そんなセキュリティが頭の中で思考を制限しやがる。

「まったく……私が私の事を知ろうとして何が悪いってのよ!」

 怒りを込めて、パンを噛み千切った。


 食器を下げ、表に出る。すると、道場の方で打ち合う音がする。
 ……セイバーがこの間の私の真似をしているのだろうか?
 そう思って道場に入ってみれば、何故か衛宮士郎とセイバーが鍛錬に精を出していた。

「ちょっとアンタ、学校は?」

 二人が手を止めた。

「アーチャー、目が覚めたのか?」
「えぇ、さっきね。前回と同じで記憶はさっぱり」

 昨日のうちに彼がセイバーに鍛錬を受けるという事が決まっていたらしい。
 衛宮士郎は遅れて登校するつもりのようだ。これから学校に出たとすれば1時間遅れというところか。
 ……だからって、学校1時間うっちゃって朝方に鍛錬というのは如何な物か?

「鍛錬ねぇ。で、彼の調子はどうなの?セイバー」
「てんでダメです」
「ちょ、セイバー……」
「そうではないですか。極限での鍛錬など無駄です。自身を万全にせねば貴方は生き残ることさえできないのですから」
「……う。つまり、そんな状態じゃ間違っても戦うなって事か」
「そうです。私やアーチャー、バーサーカーなどと戦えるとは思わないことです。体はできているのでしょうが貴方の剣には筋が通っていない。
 そうですね、そこさえどうにかなれば生き残る事はできるでしょう。ですが、勝てるなどと思わないことです」

 セイバーは容赦が無い。ただ事実だけを語る。

「だってさ。ま、剣で私の相手ができるようになったら大した物だと褒めてあげるわ」
「……って、何でアーチャーが剣なんだ?」
「そうですね、剣技だけでいうならアーチャーの方が巧いのかもしれません」

 あ、セイバーが珍しいことを言った。

「いや、待てよセイバー。アーチャーの武装はあの格闘技だろ。剣に関してはセイバーの方が……」
「戦闘面ではそうでしょう。私の剣は実践用であって、曲芸用ではない。
 魔力を使わず、全く同じ武器を使って戦えというならおそらく私は負けます。私の体術や剣は身に纏った魔力で強化していますから」

「珍しいわね。セイバーが人の事を褒めるなんて」
「認めるところは認めます。アーチャーが昨日やっていたような事は私にはできませんから」
「……てことは俺はアーチャーにも劣るって事か」
「そういうことです」

 うーん、セイバー輪をかけて容赦が無い。
 で、ぐうの根も出なくなった彼はトボトボと学校へ出かけていった。
 私もセイバーとは戦うなと厳命されている。しょうがないのでいろいろ考えながら、居間へと戻りテレビをつけた。

『発見した方の話によれば、今回発生した昏睡者は前回よりも重症の者が多く、医師の見解によって原因はやはり集団食中毒の可能性が高い と……』

 最近起きている昏睡事件。その原因はもうわかっている。柳洞寺に陣取ったキャスターが町中から命という魔力を吸い上げまくっているから起き たものだ。
 昨日、柳洞寺に満ちていた魔力は私でも判るほどに半端ない貯蔵量だった。Aランクの魔術を惜しげもなく放ちながら一行に減る気配を見せな かった。
 残っている記録と照合しても、傷を癒してもなお余りある量がプールされているはず。それをここに来て、大量搾取とは一体どういうことだ?
 ……とりあえず、知らせておくことにしよう。



 /// ///

 side 衛宮士郎


 昼休み。
 屋上に呼び出され、肌寒い中遠坂と会議が始まる。

「え、キャスターが魔力の大量搾取?」

 どうやら、俺が出てからアーチャーから連絡があったらしい。朝と違って不機嫌だったのはそれが原因か。

「えぇ、アーチャーがキャスターに大ダメージを与えたのが昨日。アーチャーの見立てだと柳洞寺に溜め込んでた魔力は相当の量なんでしょ?」
「あぁ、明らかに常軌を逸する感じで」
「だとすれば、自分の傷を癒してなお余りある魔力を持っておきながらどうして搾取を強化するような真似を?」
「さぁ……判らない。でも、使った分を取り戻そうとしてるのは確かなんだろ?」
「だからといって、一気に強烈な衰弱状態になるまで吸い上げなかったでしょう?何かおかしいのよ」
「じゃあ、もう一回柳洞寺に?」
「いえ、さっきアーチャーを柳洞寺に走らせたわ。戦闘する必要は無いけど、偵察だけにね」
「ちょ、大丈夫なのか?」
「出くわすようなら全力で逃げろって言ってあるわ。で、さっき報告が来たけど……、門番がいないって」
「いない?アサシンが?」
「えぇ、どういうわけかアサシンは消えていた。でも、境内は昨日とは輪をかけて陰湿な気配に変わっていたって。
 それだけじゃなく、傷を癒してるはずのキャスターさえ出て来なかったって言うの」

 それはおかしい。いくら傷ついたとはいえ、正面からずかずか入ってくる敵を全く無防備に侵入を許すなんてのは。

「確認するけど、アーチャーはキャスターを倒したわけじゃないんでしょう?」
「あぁ、相当な傷を負わせて撤退させたんだ。倒したわけじゃない」
「……判らないわね。わざわざ拠点を放棄するとも思えないんだけど」

 結局、そこで会議は行き詰ってしまった。
 現状、他に話し合うことは無い。

 で、自分だけ昼飯を用意してこなかったこの守銭奴ならぬ“飯”銭奴に桜の作ってくれた弁当をつつかれている途中、

「けどおかしなお弁当よね。量はすっごく多いのに、盛り付けとかラッピングとか女の子っぽいじゃない?衛宮君、もしかして少女趣味?」
「……別に少女趣味じゃないけど、今日の弁当は桜が作ってくれたもんでさ」

 と、それを行った途端、遠坂の顔が曇っていく。

「……遠坂?どうした、砂糖の固まりでも噛んだか?」
「……あっちゃー、……やっちゃったか」

 遠坂はため息をついて、自分の箸を片付けてしまう。

「ごちそうさま。あとは衛宮君一人で食べて」

 気まずそうに弁当から離れる遠坂。

 何があったのか判らないまま、昼休みは過ぎ、……俺は人生最大とも言える大ポカをやらかしてしまったことを知るのである。


 放課後、

「学校が終わったら、すぐに商店街にある中華飯店に行っておいて。そこで待ってるから」

 という遠坂の指示通り、ここに来ている。
 この商店街に中華飯店はただ一つ。
 『紅洲宴歳館・泰山』――それがこの店の名である。客の出入り不明、一見さんは裸足で逃げ出すと言う魔窟だ。
 すでに時刻は二時半を過ぎようとしている。これ以上の躊躇は失礼だろう。

「む?来たか衛宮。時間があったのでな、先に食事を進めていた」

 なんか、エセ神父がマーボーなんぞ食っている。
 地獄の煮え立つ釜のごときマーボーを食らう奴なぞ、地獄の閻魔を持ってしてもいないと思っていたのだが、
 ……尋常じゃない速さで食ってるこいつは何者だ?

「―――食うか?」
「―――食えるか!」

 誘いを全力で否定してから、神父はマーボーをさくりと平らげた。何やら俺の返答にがっかりしながら。
 どうやら、言峰に頼まれて遠坂は俺を呼んだらしい。
 労いに来たなどという冗談は全力で放っておいてさっさと本題に入ってもらう。

「今朝の昏睡事件は知っているな?」
「あぁ、遠坂もアーチャーに聞いたらしい。搾取をやってたのがキャスターで昨日アーチャーが痛めつけて戦闘不能になったらしいから、治療のた めに魔力の搾取を強化したんじゃないかって」
「そうだ。その件と関係があるかは判らんが、アーチャーがキャスターを退けた昨夜、柳洞寺にはもう2体サーヴァントがいてな。両方ともアサシ ンと思われる」

 …………はぁ?

「ちょっと待てよ。確かに柳洞寺にはアサシンがいた。セイバーが戦って俺も見た。
 それにかさねてもう一体アサシンがいる?」
「感知できなかったのだろう?アサシンは強力な英霊ではない。だが、特性として気配を遮断する事ができる。隠密はアサシンの得意分野だ。いか なセイバーとて、アサシンが完全に引きこもってしまえば見つけようが無いだろう」

 待て、待て待て待て……。アサシンが2体いる?
 判明してるのは、俺とセイバー、遠坂とアーチャー、慎二とライダー、イリヤとバーサーカー、キャスターとアサシン、ランサー。
 全部揃ってしまっている。全部そろっていまだに退場してる奴がいないというのもおかしな話だがとにかく7体のサーヴァントは目にした。
 そこに8体目のアサシンがいる?

「馬鹿な。聖杯戦争で召還されるサーヴァントは7体だろ?何でアサシンがもう一体いるなんて話が出てくる?
 ……それに、なんだって俺にそんなことを教えるんだ。マスターに肩入れはしないんじゃないのか、監督役は」
「なに、これは情報交換に過ぎん。私の知る事はそれだけだ。その対価として、ここ数日おまえが体験した出来事を教えろ。
 ……今回の聖杯戦争はどうも気配が違う」
「――――――」
「教えたくないならそれでも構わん。今のは忠告として聞いたと思えばいい」

 聞きっぱなしというのは性に合わない。もちろんその情報は必要な事だ。
 そして、何故そんなことを知っているのかと問うた時、

「なに、単純な話だ。私のランサーが柳洞寺でアサシンらしきものに敗れた。奴が消滅する寸前の映像を、マスターである私が回収したに過ぎん」

 実にあっけなく、おかしな事を言った。

「私もマスターだ、と言った。おまえも口にしたではないか。サーヴァントでもいない限り判らない、と。
 いや、実にそのとおりだ」

 場の空気が重くなる。

「さて、話はそれだけか?ではおまえの番だ。ここ数日、何と出会い何を見た」

 ただ話せ。他の事など一切無用と言わんばかりの殺気に似た何か。
 ……言いたい事は山とあるが、今は答えるのが先だろう。
 4日前の契約の話。その後、この神父と出会ってから後の事をできる限り詳細に話した。
 話は30分ほどで終わる。言峰にとってはあまり意味の無い情報だ。
 ただ、彼がたった一つだけ関心を持ったのが、

「―――間桐臓硯」
「……知ってるのか?」
「間桐の相談役のようなものだ。とうに、老衰したと思っていたがいまだ現役とはな」

 間桐臓硯――今を去る5日前、セイバーを呼び出した前日だが、桜の様子がおかしいので家まで様子を見に行った時に出くわしたのが骨と皮で出 来ていると言わんばかりの老人だ。
 彼の話では、その臓硯は蟲を媒介にし数百年を生きた妖怪だとか、人の血を吸って体を変質させて生きているとか、本気で嫌っている話が出てく る。

「気を許していい相手ではない。奴が表舞台に出てきたということは勝算があるということだ。今回の間桐のマスターは最悪の魔術師の援護を受け ていることになる」

 ライダーのマスターである慎二。アイツはまだ息を潜めている。ライダーが暴走しないように押さえつけているとは思うが、そういつまでも堪え ていられる訳も無い。

「――なるほどな。奴ならば、齟齬の歪みを利用して使い魔のごとくアサシンを呼び出す事など平気でやりそうだ。
 参考になった。間桐のご老体が動いているとなれば異常事態もうなずける。監督役として被害の拡大に備えるとしよう」

 肩の力を抜く言峰。
 そうして……、

「アイ、マーボードーフ、お待たせアル」

 その地獄の釜第2陣が到着した瞬間、俺はその場を立ち去った。

「――衛宮。私は戦いから降りた身だが、お前と凛はいまだマスターだ。臓硯は陰湿だぞ。せいぜい気をつけろ」

 などと、背中に忠告を受けたが、俺たちに隠れてマスターだった男が何を今更。


 To Be Continued

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アーチャーステータス
 
クラス:アーチャー
真名:(現在記憶喪失)
性別:女性
身長・体重:165cm・56キロ
属性:混沌・善
 
筋力:B  魔力C
耐久:C  幸運:B
敏捷:B  宝具:??
 
クラス別能力:
対魔力D:一工程による魔術行使を無効化。魔除けのアミュレット程度。
単独行動B:マスター無しでも存在できる能力。2日程度。
 
詳細:
 現在のところ不明。記憶喪失によるところが大きい。銃に関した技を使用する。
 
保有スキル:
 戦闘続行B:瀕死状態でも戦闘ができる能力。
 直感B:未来予知はできないが、行動予測という点での“読み”。
 心眼(偽)C:記憶の中で眠っている感覚の読み出し、行動予測。
 狂化D:理性を断ち、筋力、敏捷、耐久をワンランクアップする。気絶する事により、解除される。
 ラーニングC:戦った相手の技術を記憶する。Cランクなら物理的な剣術、体術等。
 ものまねC:ラーニングで習得した技術を再現する。Cならば体術までを再現可能。
 ガンブレッドCQB(Close Quarters Battle)
        宝具ではないが、彼女が使用する銃に似た近接戦闘。
        腕の筋肉に瞬時に力を送り込み、火薬のように爆発させ、拳圧で最大5メートルの距離にいる敵を殴りつける。
        無音、無動作による攻撃を可能とする。ただし、一発の攻撃力は9mm銃弾程度。

2006/01/04