Go Back In The Time
                  −認めたくない世界−




3:来訪

 

 助けたエルフ達は同行 はせず森の中を通って帰ると言うこと。
 ラミアと私は当初の予 定通り、ラミアの生まれた町へ行く事に。な んでもラミアの生まれた町はここからはなれた離島にあるという。
 そこではエルフと人間 が今も仲良く暮らしていると言うが、本当だ ろうか。 
 今向かっているのはそ の島へ渡るための船が出ているはずの町だっ た。
 たぶんそこもエルフに 対するなんらかの警備がしかれているだろ う。 

「ところで、ラミア……?」

「はい?」
「その島に渡る船だけど さ・・・、ちゃんと借りられると思う?」
「……あ、そこまで考え てなかったーー!」
「……………………」
「でも、大丈夫ですよ。 ほら人生って何とかなるものだって、いう じゃありませんか」
「時と場合と種族を考え て言ってる?」
「……………………」
「ま、いいわ。あたしが 何とかするから」

 そんなこんなのうちに港町の前まで来てしまった。

 そして、そこで待ちう けていたのが、エルフ狩りの皆さんと賞金稼 ぎの皆さん。

「おいおいおい、エルフなんぞつれてるなんざ見上げた根性した女だな」

「悪いがそのエルフこっ ちにわたしちゃくれんかね。そうすれば別に 何もしやしないぜ」
「渡さないなら渡さない で、国の法律に従うだけだがな」

 皆さん大笑い。


「はいはいそうですか……」


 といいながら、あたしはコートに手をいれ、とりいだしいたるは二丁のUZI。


「てなわけでおやすみ!」


 ドガガガガガガガ……!!


 そこらじゅうに乱射!

 飛び散る弾丸。落ちる 薬莢、絶叫しながら倒れて行く皆々方。
 注意しとくけど、死ん でないからね。
 十数秒後、
 どさっ・・・。
 最後の一人が地面のう えに倒れた後、

「ラミア! 走るわよ!」

「はいっ!」

 港までは、約500M。そこまで何人いるのかしらないが、行くしかない!



 

 銃声を聞きつけ他の住 人達や賞金稼ぎの連中が出てくる中を、走り ぬける二人。
 途中、追ってきた犬や ら、人やらがいたが、全部銃で問答無用にな ぎ払っている。
 もちろんこんな武器、 この世界には存在しないので、これの威力の 程は身を持って知るしかないわけで、
 んなこといってるうち に、港まで100M!

「!?」


 港に出る、直前、そこには賞金稼ぎの連中が待ち構えていた。


「つ、どうするかな・・・」


 走りながら考えるが何も浮かばない。

 そこで、

「ラミア。ちょっと跳ぶわよ!」

「え・・・?わっ!?」  

 サリナはいきなりラミアに抱きつき、そのまま、ジャンプ!


『おおおお!?』


 待ち構えていた、賞金稼ぎたちから驚愕の悲鳴。

 サリナは賞金稼ぎたち の上を飛び越えてしまったのだ!
 その高さ約5M!
 飛び越えるとラミアを 離し、港へと一直線。

・・・・・・・・・・・・・・・・・・


 しばし、


「追え!!何してる!」


 誰かの叱咤があって、やっと賞金稼ぎの団体はサリナ達を追い始める。

 そのころにはサリナは ある儀式の最中だった。

「この世にあらざるものよ。

 我が願いに答え今異界 に現れよ。
 汝、海を駆け、鉄の心 臓を持つ船よ!」

 これもサリナ、オリジナルの召喚呪文。

 要するにモーターボー トを出そうとしているのだ。
 元々存在しないものを 呼び出すのは、誰にも出来ない。
 しかし、異界、つまり 科学世界に存在するボートを呼び出す事は可 能なのだ。簡単にできるとは言わないけどね。
 海原に六芒星が現れ、 そこからゆっくりと姿を現したのは、5M級 のモーターボート。

「乗って!それから後ろに結界を!」


 サリナはラミアにそう言って、自分はエンジンを始動させる。


 ヒュヒュン!


 後ろから弓矢で攻撃してくる連中の矢をラミアの張った結界が防ぐ。


「いくわよ!つかまって!」  


 そう言い放ち、サリナはエンジンレバーを一気に倒す!


 グオオオオオオオ オ・・!

 ボートに搭載されてい るディーゼルエンジンがうなりを上げ、スク リューが高速で回転する。

「逃がすかぁぁ!」


 追っ手の一人が飛び乗ろうとジャンプし、


 バシャーーーン!


 見事に一歩遅かった。

 揺れるボートを慎重に 操作しながら、サリナは後ろを見る、まだま ばらに矢が飛んできたが、結界に阻まれているのが見える。

「ふぅ〜、危なかったぁ〜」


 やっと一息ついたのだった。



  

 モーターボートが中速 で走りつづけること10分。

「サリナさん。すごい船ですね。これ」 


 船室の中、さっきからラミアは船を見まわりながら感心しきっていた。


「まぁね」

「これって動力はなんで すか?風でもないし、魔力でもなさそうだ し・・・」
「う〜ん、説明してもわ からないかもしれないよ」 
「そうですか?」
「そうなの。ところでそ の島へは後どのくらい?」
「ん〜。そうですね、こ の調子ならすぐだと思います。けど・・・・」
「けど・・・・・な に?」

 いきなり妙な悪寒がした。


「ここらへんて、海賊が多かったりするんですよね・・・・・」


 直後、


    ドバシャーーーン!


 いきなり何かが水面をたたいてみずしぶきが上がる。

「何でこう都合よく来るのよ!」


 そうぼやきながらあたしはさっさと船室を飛び出した。

 すると、目の前に、大 きな船が大砲をこっちに向けていた。 

 ――撃ってくる!


 そう、直感しあたしは操舵輪に飛びつきエンジンレバーを最速に入れる。

 エンジンがうなり反動 が来る。

 ドッパアアァァァァン!!


 いままで、舟のいた場所を弾は直撃していた。


「もう、最低!!」

「あたしもそう思いま す!」

 あたしの叫びにラミアが同意した。


「このまま振りきるわ!」 

「駄目ですよ!」

 あたしの行動に待ったをかけるラミア。

「このまま振りきった ら、島の位置を特定されてしまいます!そうなったら、あたし達の島まで戦乱に巻き込まれてしますよ!」 
「でも、この小さな鉄の 船と、大きな木造船じゃ話 に・・・・・・・、話に・・・・・なるわ!」

 あたしは操舵をラミアに変わってもらった。


「ちょっと、こんなのどうするんですか!?」

「普通の船と同じよ!ス ピードは桁ちがいだけど!なんとか大砲かわしてて! 」 
 あたしはそう言ううち に、何かを呼び出す。
 六芒星から現れたの は、スティンガーミサイル! 

「よし! 」


 ランチャーを肩に担いで、あたしは狙いを海賊船に向ける。

 それを見た、ラミア。

「サリナさん、それって ・・・わっ! ?」

「きゃっ! ?」

 ラミアが目を離したために一瞬、波に乗り上げてしまう。

 なんとか落ちずにすん だものの、あたしはスティンガーを落として しまった。

「なにやってんのよ! ちゃんと操縦して! 」

「はいぃぃぃ! ! 」  

 もう涙目である。

 しかたなくもう一台呼 び出して、狙いを定めるあたし。
 サイトに海賊船を移 し、印が一点を指し、

 シュバゥ! ! 


 発射! 


 ヒューーーーーン! ドガーン! ! 


 命中! 

 炎上。

「やったぁぁぁあ! ! 」


 ラミアが思わず歓喜の声を上げ、


 グラッ! 


「わああああぁぁぁ! ?」

「きゃあぁぁぁぁぁ!  ?」

 またも落ちずにすんだものの、あたしはスティンガーを落としてしまった。

 
 5分後。

「あれです! あれが私の島です」


 海賊船を沈め、そっからは順調に来た二人はいよいよ目的地の島へとたどり着いていた。


「さぁて、上陸しましょう! 海岸はどこ?」

「東側に桟橋がありま す! 」
「OK! 」 

 あたしは東へと舵を取る。

 ゆっくりと島の断崖の 横を通っていると、

 ドズッ! 


 いきなり、甲板に矢が! ?

 あたしは操舵輪に突っ 伏し、

「今度は何よ・・・」


 かなり疲れております。


「これ、この島の合図です! 」


 と、ラミアは矢を引っこ抜いてあたしに見せる。

 矢には一枚の布が結び ついていた。

「これを・・・・・、弓あります?」 


 あたしが弓を渡すとラミアは矢を飛んで来た方向に撃ち返した。


「これで、OKです」


 ――どういう合図なの・・・・?


 と、考えつつ二人は桟橋へとやってきた。

 
―To be continued―
 


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